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2022.06.06[参院選2022]農政連 試される結集力 推薦候補に藤木氏(日本農業新聞)農家代表からの質問に答える藤木議員(左) JAグループの農政運動組織が、夏の参院選に組織内候補として自民党から比例代表に出馬する藤木眞也氏の支持拡大に力を入れている。比例代表は業界団体の政治力や結集力が試される。だが、新型コロナウイルス禍の影響や、各業界の組織内候補との競り合いで苦戦も予想され、JAグループ内の危機感は高まっている。 「農業経営が持続可能なものでなければ食料安全保障は成り立たない」。5月下旬、東海地方での農政集会で、藤木氏はそう訴えた。2期目を目指す藤木氏を、全国農業者農政運動組織連盟(全国農政連)は2020年11月に早々と推薦候補者に決定。藤木氏は連日のように各県のJAや農政集会を回り、食料安保の強化に向けた農業政策の再構築の重要性を訴えている。 比例代表は、選挙の集票力を通じて業界団体の組織力や政治への影響力を測る「物差し」と言われる。同じ組織内候補で元JA全中専務の山田俊男氏が07年に初当選した際は、党内2位の45万票を集め、集票力を示した。 ただ、13年の山田氏、16年の藤木氏と徐々に得票数が減少し、19年の山田氏は21万票余り。第2次安倍政権以降の農協改革や環太平洋連携協定(TPP)などで農家の不安や不満を呼んだことが影響したとみられるが、「農業団体の政治力低下」という見方も広がった。 “選挙離れ”に危機感 自民党農林幹部は「これだけ食料安保が叫ばれている今、農業団体の結集力は注目されている」と強調する。参院選後は経済対策や補正予算で、高騰する肥料、配合飼料などへの対応策の検討が本格化する。 一方、参院選への農政連関係者の危機感は強い。支持者拡大の基礎となる後援会の名簿集めの遅れなどが要因とみられる。コロナ禍で、全国行脚で対面する期間も限られた。農協改革や貿易自由化の動きが落ち着くなど「改革が一服して『もう安心』という感覚で“選挙離れ”しているのではないか」(ある県の農政運動組織幹部)との危機感もにじむ。 藤木氏は、JAや農政組織との意見交換でオンラインを駆使。交流サイト(SNS)などでの発信力が各候補の浮沈を左右する選挙戦となる中、藤木氏もLINEや動画投稿サイト「ユーチューブ」による情報発信に力を入れ、専用の政策動画番組も始める。全国農政連関係者は「SNSの効果は未知数だが、農政、食料安保への関心を強めることが支持拡大になる」と話す。 【2022年6月6日付日本農業新聞掲載】
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2022.05.31肥料高騰で緊急要請/JAグループ滋賀滋賀県農政連盟 実効性ある対応を(日本農業新聞)国会議員に要請書を手渡す県中央会・農政連盟の役員 【滋賀】JAグループ滋賀と滋賀県農政連盟は29日、小寺裕雄衆院議員、小鑓隆史参院議員、藤木眞也参院議員に対して肥料価格の急激な高騰への対策などを求めて緊急要請を行った。 現在、与党内で検討が進められている「肥料の急激な価格高騰に対する影響緩和対策の仕組みの創設」に関して①十分な予算規模の制度とすること②制度を迅速に創設するとともに農業者に早期に告知すること③農業者の事務負担が過大とならないよう簡素な仕組みにすること──の3項目を要請。 この他、①肥料価格の急激な高騰等に対応した適切な価格転嫁の実施に向けた農水省による監視の強化および消費者への理解促進②再生産可能な米価水準の維持に向け需要に応じた生産の推進キャラバンの一層の強化──などの対策を講じることも併せて要請した。 農政連盟の野田藤雄会長、JA滋賀中央会の深尾善夫専務ら出席者は、米価が低水準で推移している中で、史上かつてない水準まで肥料価格が高騰する懸念があるとして、再生産可能な農業経営のための実効性のある対応が早急に講じられるよう強く求めた。 議員からは、喫緊の課題として政府・与党に対してしっかりと働きかけるとの回答があった。 【2022年5月31日付日本農業新聞掲載】
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2022.05.31活力創造本部改組へ/首相 食料安保強化を検討(日本農業新聞)岸田文雄首相は30日の参院予算委員会で、食料安全保障の強化に向け、政府の「農林水産業・地域の活力創造本部」を改組する考えを示した。改組した組織で「食料安保の強化についてもしっかりと検討し、政府一体となって取り組んでいきたい」と述べた。食料安保を巡って政府に対策本部の設置を求めた自民党の提言を踏まえたとみられる。同党の藤木眞也氏への答弁。 同本部は安倍晋三政権時の2013年に設置した。首相を本部長とし、官房長官と農相が副本部長、関係閣僚が本部員に名を連ね、農業の成長産業化に向けて、担い手への農地集積や農産物輸出、6次産業化の推進といった議論を主導してきた。 岸田首相は「名称はともかく、ぜひこの組織を改組する」と述べた。同本部は昨年末、「農林水産業・地域の活力創造プラン」を改訂し、スマート農業の推進といった成長産業化を重視する方針を示していた。改組に伴い、食料安保に従来以上に重きを置く考えを示した格好だ。 首相は、近くまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で「食料安全保障の強化に向けた考え方をしっかり示す」とも強調した。「将来にわたる食料の安定供給の確保に必要な政策」の具体化に意欲を示した。 【2022年5月31日付日本農業新聞掲載】
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2022.05.31肥料対策 手続き「配慮」/農相 事務軽減へ検討/参院予算委(日本農業新聞)参院予算委で答弁する岸田首相(手前)(30日、国会内で) 金子原二郎農相は30日の参院予算委員会で、肥料価格高騰の影響緩和策について「事務手続きの観点からも配慮しながら、どのような政策が必要か検討を進めていきたい」との考えを示した。肥料は飼料や燃油などに比べ、使用農家やメーカーの数が多いことなどを踏まえ、対策実施に伴う事務負担を最小限とするよう求めた自民党の藤木眞也氏への答弁。 肥料原料を巡っては、中国が国内供給優先に転じる中、輸出国のロシアもウクライナ情勢で供給が不安定化するなどで、6~10月が対象の秋肥価格は大幅値上げが不可避な情勢にある。こうした中、自民党は食料安全保障の強化に向けた提言で、値上げの影響を緩和する仕組みの創設を政府に求めている。 農相は「6月以降の肥料の価格の動向が農業経営に与える影響について十分注視し」、高騰対策を検討するとした。土壌診断に基づき施肥量を低減するなど「農家の皆さんの努力も必要だ」とも述べた他、堆肥など国内資源の活用促進の必要性も指摘した。 政府が価格高騰時の補填(ほてん)対策を講じている飼料や施設園芸向けの燃油に比べ、肥料は支援対象となる農家数が多いことなどから、対策の具体化では、いかに事務負担を抑えるかを課題に指摘する声がある。 鈴木俊一財務相は、食料安保の強化に必要な政府予算の確保を巡り、「既存事業の合理化も含めて施策を一つ一つ精査し、所要額を積み上げていくことが必要」と指摘。「日本の食料供給の将来を見据えてどのような施策が必要か、農水省としっかり議論していきたい」と述べた。藤木氏への答弁。 岸田文雄首相は、全てを競争や市場に任せずに、官民が連携し社会課題に取り組むことが「新しい資本主義」の基本的な考えだと説明。「食料安全保障、農林水産業の発展も、そうした考え方に基づいてしっかりと取り組んでいきたい」と述べた。藤木氏への答弁。 【2022年5月31日付日本農業新聞掲載】