29日の自民党農業基本政策検討委員会では、今秋に最大50万トンの2020年産米の持ち越し在庫が発生しかねないとのJA全農の見通しを受け、需給緩和を避けるための対応策を求める声が相次いだ。だが農水省は、買い入れなどによる対策に改めて否定的な見解を示した。
伊藤信太郎氏は「できれば50万トン、政府備蓄米で市場隔離する必要がある」と述べ、買い入れた米は子ども食堂への支援などに活用するよう求めた。進藤金日子氏は7月上旬以降、JAの概算金の決定が進むことから「短期間でメッセージを発しないと混乱する」として、早急に対策を示すよう訴えた。
藤木眞也氏は、20年産在庫について「新型コロナウイルス(による需要減)対策として処理してほしい」と求めた。津島淳氏も米の需要減にはコロナ禍が響いているとし、「緊急対応として思い切ったことをやるのが、平時の農政への信頼を維持する」と指摘した。
しかし、同省は「(買い入れなどによる)需給操作はしないと総理も大臣も国会で答弁している」と強調。小野寺委員長は、営農計画書の提出期限である6月末時点の作付け動向を把握した上で、7月以降に対応策を改めて議論する考えを示した。
【2021年6月30日付日本農業新聞掲載】