農水省は7日、日本や米国など21の国・地域でつくるアジア太平洋経済協力会議(APEC)が3日に開いた食料安全保障担当の閣僚級会合の結果を公表した。持続可能な形で食料安全保障を達成する方法について議論したものの、中国やロシアの反対で意見がまとまらず、全会一致での共同声明は出せなかった。声明発出を見送ったのは2年連続となる。
会合は米国・シアトルで開催。日本から出席した藤木眞也農水政務官は、各国が国内資源を有効利用しつつ、自国生産の拡大を進めることが必要と指摘。黒海経由のウクライナ産穀物輸出の合意から離脱したロシアへの非難も表明した。
会合では、世界人口が増え続ける中で食料を安定的に供給するため、環境負荷を減らしながら生産性も向上させていくことが必要不可欠との認識で一致。気候など各国独自の事情を踏まえた政策を促進するといった、食料安保を確保する上で原則となる事項をまとめた文書を策定した。
各国はこの合意を基に共同声明の発出を調整したが、ウクライナ危機が食料安保に及ぼす影響に関する記述を巡ってロシアと中国が反対を表明し、折り合えなかった。
【2023年08月08日付日本農業新聞掲載】