金子原二郎農相は30日の参院予算委員会で、肥料価格高騰の影響緩和策について「事務手続きの観点からも配慮しながら、どのような政策が必要か検討を進めていきたい」との考えを示した。肥料は飼料や燃油などに比べ、使用農家やメーカーの数が多いことなどを踏まえ、対策実施に伴う事務負担を最小限とするよう求めた自民党の藤木眞也氏への答弁。
肥料原料を巡っては、中国が国内供給優先に転じる中、輸出国のロシアもウクライナ情勢で供給が不安定化するなどで、6~10月が対象の秋肥価格は大幅値上げが不可避な情勢にある。こうした中、自民党は食料安全保障の強化に向けた提言で、値上げの影響を緩和する仕組みの創設を政府に求めている。
農相は「6月以降の肥料の価格の動向が農業経営に与える影響について十分注視し」、高騰対策を検討するとした。土壌診断に基づき施肥量を低減するなど「農家の皆さんの努力も必要だ」とも述べた他、堆肥など国内資源の活用促進の必要性も指摘した。
政府が価格高騰時の補填(ほてん)対策を講じている飼料や施設園芸向けの燃油に比べ、肥料は支援対象となる農家数が多いことなどから、対策の具体化では、いかに事務負担を抑えるかを課題に指摘する声がある。
鈴木俊一財務相は、食料安保の強化に必要な政府予算の確保を巡り、「既存事業の合理化も含めて施策を一つ一つ精査し、所要額を積み上げていくことが必要」と指摘。「日本の食料供給の将来を見据えてどのような施策が必要か、農水省としっかり議論していきたい」と述べた。藤木氏への答弁。
岸田文雄首相は、全てを競争や市場に任せずに、官民が連携し社会課題に取り組むことが「新しい資本主義」の基本的な考えだと説明。「食料安全保障、農林水産業の発展も、そうした考え方に基づいてしっかりと取り組んでいきたい」と述べた。藤木氏への答弁。
【2022年5月31日付日本農業新聞掲載】